3.数列の再帰
このページは電子ブック「探求 数学B・C」の一部です。
1.漸化式タイプ
<反復・再帰・漸化式>
数列を一般項でも、具体数でもなく再帰的(recursive, iteration)に定義したものを漸化式という。
an+1=f(an)のような形式になる。
<基本漸化式>
1.加算型(等差数列) an+1 =an+d
2.乗算型(等比数列) an+1=r・an
・定数減が等比数列 (an+1-c)=r・(an -c)
一般項はan=rn-1(a1-c)+c
・関数和が等比数列 (an+1+f(n+1))=r・(an +f(n))
一般項はan=rn-1(a1+f(1)+f(n)
3.階差数列 an+1=an+bn
一般項はan=a1+∑n-1bk
<複合漸化式>・一次式型 an+1=p・an +q
乗算型に加算部分がある1次式型は、漸化式の項をtにおきかえた1次式を作る。
t=pt+qと辺々ひくと、加算部分が消えてp倍だけになる。
an+1 - t = p(an - t)から、乗算型へ。・関数型 an+1=p・an +f(n)
関数部分が一次式か等比数列かによって変わる。
・f(n)-f(n-1)=dとなる場合。
t=pt+f(n-1)を辺々ひくと、an+1-t=p(an-t)+d。
bn+1=an+1-tとおくとbn+1=pbn+dから、2型へ。
・f(n)=rf(n-1)となる場合。pn+1で両辺を割ると、an+1/(pn+1)=an/pn +f(n)/pn+1
bn+1=an+1/(pn+1)とおくとbnの階差数列型へ。
・3項型 an+1=p・an +qan-1
a1=i , a2=j とする。
特性多項式 x2-px-q=0の2解をα、βとすると、p=α+β,q=-αβ
(x-α)(x−β)=0となる。x(x−β)=α(xーβ)
係数だけをみると2項式の乗算型へ。
an+1=α・an+β・an ーαβan-1 から、
an+1 - β・an=α・(an ーβ・an-1) =......=αn-1(a2- βa1)=αn-1(j- βi)
αとβは対等なので交換可能なので、
an+1 - α・an=β・(an ーα・an-1) =......=βn-1(a2- αa1)=βn-1(j- αi)
両辺をひくと(α-β)・an=αn-1(i- βj)-βn-1(i- αj)
一般項は、an=(αn-1(j- βi)-βn-1(j- αi) )/(α-β)
・その他
実験して予想する。数学的帰納法で証明する。逆数の数列に置き換えてみる。など
★一次式型の漸化式から一般項の公式を作ろう
★三項型の漸化式から一般項を作ろう
2.漸化式から一般項へ
<演習>
最終的には上記の1,2,3型にすること。
そのためには、複合型のどれにあたるかを見極めよう。
<例>
「a1=1,an+1=4an+1の一般項」は?
一次式型なので、漸化式の項をtなどにおきかえた等式「t=4t+1」
とおき両辺の差をとる。an+1 -t=4(an -t).2型にできる。a2=5。
5-t=4(1-t)から、3t=-1。t=-1/3。bn=an+1/3とおくと、b1=1+1/3=4/3とbn+1=4bnだから、
bn=an+1/3=4/3・4n-1=4n/3、an=bn-1/3=4n/3- 1/3= 。
<例>
「a1=3,an+1=3an-2n+3の一般項」は?
関数型なので、項に関数を加えた数列に倍関係を作り、2型をめざす。
an+1+α(n+1)+β=3(an+αn+β)とおくと、an+1=3an+(-α+3α)n-α-β+3βとなる。
これがもとの漸化式と一致するためには-2=2α、+3=-α+2β。これより、α=-1、β=1。
だから、an+1-(n+1) +1=3(an-n+1)。 ここで、 an-n+1=bnとおくと、b1=a1-1+1=3。
bn=3n。an=bn+n-1=3n+n-1。
<例>
「a1=1/4,an+1=an/(3an+1)の一般項」は?
bn=1/anとおくと、bn+1=(3an+1)/an=3+bn 階差数列が定数だから、1型になる。
bn+1-bn=3からbnは等差数列。b1=1/1/4=4が初項で、公差が3。bn=4+3(n-1)=3n+1。
an=1/bn=1/(3n+1)。
<例>
「a1=1,an+1=2an+3nの一般項」は?
両辺を2n+1で割ると、 an+1/2n+1= an/2n+1/2(3/2)n。ここで、bn=an/2nとおくと、
bn+1-bn=1/2(3/2)n。階差が数列だから、3型になる。相殺をねらって、式をならべよう。
bn-bn-1=1/2(3/2)n,.......,b2-b1=1/2(3/2)=3/4。
左辺の和はbn+1-b1,右辺の和=3/4((3/2)n-1)/(3/2-1)=3/2((3/2)n-1)
b1=a1/2=1/2から、bn+1=1/2+3/2((3/2)n-1)=(3/2)n+1-1。
bn=(3/2)n-1。an=bn・2n=3n-2n。
・3項型の一般項もさまざま
<例>
「a1=3,a2=5,an+2=3an+1−2anの一般項」は?(特性方程式が2実数解)
x2-3x+2=(x-2)(x-1)=0、α=1,β=2。
an+1-an=2n-1(a2-1a1)=2n-1(5-3)=2n。 an+1-2an=1n-1(a2-2a1)=(5-2・3)=-1。
両辺ひくと,an=2n+1。
(確認解) an=U(2)n-1+V(1)n-1と仮定する。
a1=U+V=3, a2=2U+V=5 。U=2でU=1, V=4。an=2n+1
<例>
「 a1=0,a2=3,an+2−6an+1+9an=0の一般項」は?(特性多項式が重複解)
x2-6x+9=(x-3)2=0、α=β=3。
an+1-3an=3n-1(a2-3a1)=3n-1(3-0)=3n
両辺を3n+1でわると、an+1/3n+1-an/3n=1/3
階差数列が定数で、初項がa1/31=0。だから、an/3n=1/3(n-1)。an=(n-1)3n-1
<例>
「 a1=1,a2=1,an+2=an+1+an (フィボナッチ数列)の一般項」は?
x2-x-1=0、√D=√(1+4)=√5 =f 、α=(1+f)/2, β=(1-f)/2。α-β=f=√5
an+1-αan=βn-1(a2-αa1)=βn-1(1-(1+f)/2)=βn-1((1-f)/2)=βn
an+1-βan=αn-1(a2-βa1)=αn-1(1-(1-f)/2)=αn-1((1+f)/2)=αn
両辺を引くと,(β-α)an=βn-αnだから、an=(αn-βn)/(α-β)=