1.式のかけ算
1.次数と係数
このページは電子ブック「探求 数学Ⅰ」の一部です。
<多項式>
数や文字の積だけでできたかたまりを[項](term , item)という。
(例), ,
項が1つ以上和でつながった表現・式を[多項式](polynomial)という。
特に、項が1つだけの式を単項式ということがある。
多項式を整式と言うことはあるけど、混乱しやすい。
整式というのは、式を集合として高い視点で見たらまるで整数の集合のように見える
という言葉遣いから気ている。別に、係数を整数にするというわけではない。
係数は小数、分数、√2ですらよい。数と文字の積の和が多項式。
単項式の数は負の数でもよいので、単項式の和と言っても、ひき算でももちろんよい。
大切なことは多項式を積和としてとらえること!
(例), ,,
<項の次数と係数>
着目する文字の積の回数を[項の次数]という。
多項式の項の最高の次数を[多項式の次数](polynomial degree)という。
次数がNの式を、[N次式]という。
項の着目する文字以外の積の部分を[係数](coefficient)という。
(例)は、についての次数は3で係数は、
について次数は1で係数は。
同じ式でも、着目する文字で次数と係数が変わる!
この自由さが解法の手がかりにつながることもある。
(例)は、については5次で係数は、
について3次で係数は
着目する文字について次数が等しい項を[同類項](similar term,like term)という。
(例)とは同類項。とはについて同類項。
2.式の単純化
<多項式を整理する手順>
項を着目する文字について係数を前にかき、
次数の高い順(降べきの順)か低い順(昇べき)に並べる。
同類項は分配法則を使って、係数をまとめて単純化・簡約化(Simplify)する。
(例)< >内の文字について整理しよう。
x,yについての式
xについての式
<整式と整式でないもの>
整式は多項式と同義。整式は項(数と文字の積)の和できているもの。
整式÷整式は分数式という。
(例),
加減乗以外の演算や関数(sin,logなど)を使ったものは整式ではない。
(例),, ,
<整式の加法・減法>
整式A,Bの加法はA+Bで、減法はAーB=A+(-B)である。
整式の加減によってできた多項式を整理する。
★整式の単純化をしてみよう!
★整式を加減して単純化しよう!
3.指数法則と式の展開
式と式をかけるときにはm次式×n次式が出てきます。
また、m次式の2乗や3乗などの計算をすることもありますね。これから式の展開をしたり
するときには、次の2つの指数法則をすぐに区別できることは必要になります。
<指数の和の法則>
xをm回かけた項とn回かけた項をかけるとm+n回かけた項ができる。
言い換えると、m次式×n次式=(m+n)次式
(例)項の積は、係数は積に文字の次数は和になる。
<指数の積の法則>
xをm回かけた項をn回かけると、m・n回かけた項ができる。
言い換えると、(m次式)n乗=(m×n)次式
(例)
<整式のかけ算>
m項の多項式とn項の多項式の積は、m・n個の項の多項式となる。
(場合の数の積の法則より)
多項式×多項式=多項式によって、左辺の式を[展開](expand)したとされる。
(例)2項式×3項式=6項式になることは、
分配法則を2段階使えばわかる。
(A+B)(D+E+F)=A(D+E+F)+B(D+E+F)
=AD+AE+AF+BD+BE+BF
<式の展開と係数分離法>
整式の積は整数の積と同様に実行できます。
整式の項の係数をN進数の各位の数とみて筆算します。
それを係数分離法といいます。
やり方
1.式を降べきの順に整理する。係数だけ取り出す。(1,2行目)
2.同じ次数の係数が、位どりのように同じ次数がたてにそろうように実行する。
3.同じ次数の係数をたし算することで、同類項をまとめる。
(ただし、N進数のかけ算のようなくり上がりはない。)
(例)
2 3
☓ 1 5 1
2 3
10 15
2 3
2 13 17 3
(例)
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 -1
-1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 -1
(一般化)このイメージがわかれば、逆に
となることも予想できるね。
★和の法則
★積の法則
★式を展開して単純化しよう!
★整式は整数に似ている!
4.乗法公式
<2項式の積>
・(a+b)(a+b)=(a+b)a+(a+b)b=aa+ba+ab+bb=a2+2ab+b2
2項和の2乗は、前項2乗と2倍の前後の積+後項2乗。
(a-b)²は、bに-bを入ると2乗部分は符号は変わらない。
(a-b)2=a2-2ab+b2
・(a+b)(a-b)=(a+b)a+(a+b)(-b)=aa+ba-ab-bb=a2-b2
和差の積は2乗の差
・(x+a)(x+b)=(x+a)x+(x+a)b=xx+ax+bx+bb=x2+(a+b)x+ab
xの係数は、2次→1次→定数の順に1→和→積
・(ax+b)(cx+d)=(ax+b)cx+(ax+b)d=axcx+bcx+axd+bd=acx2+(ad+bc)x+bd
xの係数は、降べきの順に1次積ac→たすきがけ⇒定数積bd
・(a-b)(a2-ab+b2)=a3+b3
カッコの両端以外は相殺して消える。
・(a+b)(a2+ab+b2)=a3-b3
bに-bを代入すると、2乗部分だけ符号は変わらない。
bに-bを代入しても、2乗部分だけ符号が変わらない。
<乗法公式を式の展開に使うには>
★文字種がまざるときは最低次の1文字について整理する。
★共通部分をみつけてくくるか、置き換えをして単純化する。
・1次の係数の和がsなら、a+b=s, とするととなることが使えるね。
(例)
(x+a)(x+s-a)(x+b)(x+s-b)=,
さらにX=とおき1次式の積で計算可能。
・多項式の共通部分をX、Yとしたとき、和差積は2乗差が使えるね。
(例)
(x+a+b)(x-a-b)=(x+M)(x-M)。a+b=Mとおけば、-a-b=-(a+b)=-Mとなるから。
(x+a-b)(x-a+b)=(x+N)(x-N)。a-b=Nとおけば、-a+b=-(a-b)=-Nとなるから。
(x+a-b)(x-a-b)=(x-b+a)(x-b-a)=(X+a)(X-a)。-bを移項して、x-b=Xとおけばよい。
・和の2乗と差の2乗の和差。差は2倍の積がのこり、和は2乗部分が残る。
(例)
2乗部分は差によって消えるから、
2ab部分は和によって消えるから、
・3項式の積でも、分配法則や場合の数の積の法則が使える。3項×3項=9項式
(例)(a+b+c)(a+b+c)=(a+b+c)a+(a+b+c)b+(a+b+c)c
=aa+ab+ca +ab+bb+bc +ac+bc+cc=aa+bb+cc+(ab+bc+ca)*2
=a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca