4.数列の活用
★格子点を群点列としてみよう。
このページは電子ブック「探求 数学B・C」の一部です。
1.格子点の個数
<格子点>
xy座標平面上の格子点とは座標がx、yともに整数になる点のことです。
たとえば、
「第1象限でy座標が-1/3x2+3n2以下である領域Dnに含まれる格子点の個数」
を調べてみよう。
<予想>
x2乗の係数が-1/3だから、xが3の倍数ならy座標は整数になる。
xが3の倍数でないときはy座標は整数にならない。
xが3の倍数になるときの格子点を手がかりにしてみよう。
<実験>
0=-1/3x2+3n2の解はx>0ではx切片はx=3n。x=0のときy切片はy=3n2。
・n=1 のとき、
x={0,1,2,3}に対するy={3,3-1/3,3-4/3,3-3}から、Dn内の最大整数はymax={3,2,1,0}
x軸上の格子点数はLx=max(x)+1=3+1=4
ymaxはx軸より上にある格子点の個数を表しているので、
格子点の合計個数はSum(ymax)+Lx=2・3+4=10。
・n=2のとき、
x={0,1,2,3,4,5,6}に対するy={12,12-1/3,12-4/3,12-3,12-16/3,12-25/3,12-12}から、
Dn内の最大整数はymax={12,11,10,9,6,3,0}
x軸上の格子点数はLx=max(x)+1=6+1=7
3項が等差数列となる群数列になる。公差は{1,3}の奇数列。
3項群の先頭は{12,9,0}と12から3の1倍,4倍と平方数倍へっている。
格子点数はSum(ymax)+Lx=(11+6)・3+7=58
・n=3のとき、
x={0,1,2,3,4,5,6,7,8,9}に対するy={27,27-1/3,27-4/3,27-3,27-16/3,27-25/3,27-12,27-49/3,27-64/3,27-27}から、
Dn内の最大整数はymax={27,26,25,24,21,18,15,10,5,0}
3項が等差数列となる群数列になる。公差は{1,3,5}の奇数列。
3項群の先頭は{27,24,15,0}と27から3の1倍,4倍,9倍と平方数倍へっている。
3項群の中央の3倍でsum(ymax)が出せるので、
格子点数はsum(ymax)+Lx=(26+21+10)・3+(9+1)=181
3項群の中央は、3で割って2余る番号
<一般化>
p=3n2とすると、
x={0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,....,3k-2,3k-1,3k}に対する
y={p,p-1/3,p-4/3,p-3,p-16/3,p-25/3,p-12,p-49/3,p-64/3,p-27,........,p-(3k-2)2/3,p-(3k-)2/3,0}
ymax={p,p-1,p-2,p-3,p-6,p-9,p-12,p-17,p-22,p-27,........,6n-3, 4n-2, 2n-1,0}
Lx=max(x)+1=3n+1。あとはsum(ymax)をたす。
x軸での3の倍数はn+1個、3の倍数-1はn個、3の倍数-2もn個
3項群の先頭の和を出す式は、pをn+1個集めて、3の平方数倍の和を引けばよい。
sum(ymax(3k))=sum{p,p-3,p-12,p-27,.....6n-3,0} =∑p-3∑k2
3項群の中央数は、先頭よりさらに公差だけへる。
和はpをn個集めて、n-1個の平方数の和の3倍とn個の奇数の和を引けばよい。
sum(ymax(3k-1))=sum{p-(0+1),p-(3+3),p-(12+5),.....4n-2}
=n∑p-3∑(1+4+...)- ∑(1+3+5)=
3項群の中央の和の3倍でsum(ymax)が出る。
格子点数はsum(ymax)+Lx=
(例)
「y>=x2 とy<=x+n(n+1)の表す領域Dの格子点で、xが正の個数Mとxが負の個数Nの差が1000以上となるn」は?
係数が分数ではないから、xが整数のとき、どちらの境界線のy座標も整数になる。
=にしたときの交点はx2-x-n(n+1)=(x+n)(x-(n+1))=0から、x=-nからx=n+1までの範囲で調べる。
この範囲では放物線が下にある。
2つのグラフのy座標の差が0のときに格子点は1個だから、
y座標の差に1をたすと、x座標ごとの格子点の個数はf(x)=-x2+x+n2+n+1となる。
Mはf(k)をk=1からnまでの∑で求められる。
このように、MとNをそれぞれnの式の差を求める(数式計算)のもよい。
しかし、MとNの∑が表す範囲と式の共通点を図形的にイメージする(∑自体の単純化))のもよいね。
Nはk=-nから-1のかわりにk=1からnに変更する。
MとNは∑k以外はk=1からnまでは共通だから、MとNの差はf(n+1)と∑kの2倍になる。
n(n+1)>=999となるのは、31×32=992, 32×33=1056から、n=32。
三角錐数の格子点
(例)「自然数pに対して、第1象限での格子点数」は?
小さい数で実験しよう。
p=1 x+2y<=2。x<=2(1-y)。y=0;x=0,1,2。y=1;x=0。3+1=4=22。
p=2 x<=2(2-y)。y=0;x=0〜4。y>=1;同上。5+3+1=9=32。
だから、pに対しては,0〜p2までのp+1個の奇数和=(p+1)2
(例)「第1象限でyが500以下、の格子点数」は?
等号が成り立つとき、x2=y。y=500なら、222=484。232=529
直線y=500と放物線y=x2の間か線上にある格子点の個数をx=0から22までたせばよいね。
小さい数で確認しよう。xが整数ならyは必ず整数になるね。
x=0のときはy=0から500で501個。x=1のときはy=1から500の500個、.....。
x=22のときは、y=484から500で17個。
だから、x=kのときはy=k2から500までの500-k2+1=501-k2個
Sum(501-x2,0,22)=
=11523-3795=7728
(例)「x,y,zが非負で和が8以下の格子点の個数」は?
小さい数で実験する。
z=0ならx+yが8以下。x,yが0〜8の(1+8)2=81個のうち境界の対角線の9個まで(81+9)/2=45。
z=1ならx+yが7以下。x,yが0〜7の(1+7)2=64個のうち境界の対角線の8個まで(64+8)/2=36。
45,36と9の倍数が続いているが、9の倍数になる理由はないので、分布の特徴から一般化しよう。
z=kならx+yが8-k以下。(8-k+1)2=(9-k)2=k2-18k+81個のうちの(k2-18k+81+9-k)/2=(k2-19k+90)/2
Sum((k2-19k+90)/2, 0, 8)=
ちなみに、(k2-19k+90)/2=(k-9)(k-10)/2=(10-k)(9-k)/2のようになるため、k=0,k=1で9の倍数になった
という理由が式からわかるね。k=2からは9の倍数になる理由が消える。
(例)<等数変形>
「y=nxとy=2n2-x2に囲まれた領域の格子点数を境界線上も含めて求める」と?
f(x)=2n2-x2-nx=-(x-n)(x+2n)から、x=-2nからx=nまでの領域になるね。
面積を求めるときに等積変形・移動をしたように、格子点数は等数変形・移動をしよう。
面積ならintegral(f(x),-2n,n)の代わりに、右に2n移動させた関数f(x-2n)を-2n+2n=0からn-(-2n)=3nまで定積分しても面積は変わらない。
交点も右に2n移動するため、f(x-2n)=-x(x-3n)=-x2+3nxになるから、integral(-x2+3nx,0,3n)の面積を求めても良い。ただし、面積は連続量なので際には面積がないが、格子点数は離散量のため際にあるので区間すべて1個ずつある。だから、sigma(f(x-2n)+1, 0,3n)を求めればよいね。f(x-2n)+1=-x2+3nx+1。
移動して数えよう
2.数学的帰納法
<数学的帰納法の原理>
自然数 n に関する命題 P がすべての自然数 n(nがq以上) について成り立つことを証明したいときに
① n=q のとき P が成り立つ。
② n=k のとき P が成り立つと仮定すると,n=k+1 のときにも P が成り立つ。
この①、②を示せばよいという原理を
数学的帰納法という。
(例)
命題P(n)「すべての自然数nで、12+22+32+⋯+n2 =n(n+1)(2n+1)/6」を数学的帰納法で証明すると?
① P(1)は、左辺=1。右辺=1・2・3/6=1から、成り立つ。
② P(k)が成り立つとき、P(k+1)の左辺
=P(k+1)の右辺となり、p(k+1)が成り立つ。
(例)
命題P(n)「すべての自然数nで、7n–2n–1 が4の倍数である」の証明は?
① P(1)は7-2-1=4は4の倍数だから、成り立つ。
② P(k)が成り立つとき、7k–2k–1 =4mとおける。7k=(2k+4m+1)となる。
P(k+1)の式=7k+1–2(k+1)–1= (2k+1+4m)・7 -(2k+1)-2=2k・(7-1)+1・(7-1)-2+4m・7
=12k+4+4m・7=4・(3k+1+7m)から4の倍数である。だから、P(k+1)が成り立つ。
(例)
命題P(n)「nが5以上の自然数で、n2<2nである」の証明なら?
①P(5)は52=25<25=32で成り立つ。
②kが5以上でP(k)が成り立つなら、2k>k2となる。P(k+1)の右辺ー左辺=2k+1-(k+1)2
=2k2-k2-(2k+1)>2k2-k2-(2k+1)=k2-2k-1=(k-1)2-2>=(5-1)2-2=14>0だから、P(k+1)が成り立つ。
(例)
数列 {an} をa1=1,an+1=an/(1+3an)(n=1,2,3,⋯)とするとき一般項」の推測と証明は?
a1=1,a2=1/(1+3)=1/4, a3=(1/4)/(1+3/4)=1/7,a4=(1/7)/(1+3/7)=1/10から、
P(n) 「an=1/(3n-2)」と推測できる。
①p(1) a1=1で成り立つ。②P(k)が成り立つなら、ak=1/(3k-2)。
P(k+1)の左辺は漸化式から、ak+1=ak/(1+3ak)=(1/(3k-2))/(1+3/(3k-2))=1/(3k-2+3)=1/(3(k+1)-2)。
P(k+1)の右辺と等しいので、P(k+1)が成り立つ。
3.場合の数・確率の規則性
<確率の漸化式>
(例)
「n個の箱にすべて1,2,3,4,5のカードが1枚ずつ計5枚入っている。
n個の箱それぞれから1枚ずつ取り出したカードを左から順に並べてnけたの数xを作るとき、
xが3の倍数になる確率」は?
n個の箱でのxが3で割ってr余る確率をpn(r)とかくことにしよう。
p1(0)=1/5。
p1(1)=2/5。
p1(2)=2/5。
p2(0)=p1(0)p1(0)+p1(1)p1(2)+p1(2)p1(1)=1/5・1/5+2/5・2/5+2/5・2/5=9/25。
p2(1)=p1(0)p1(1)+p1(1)p1(0)+p1(2)p1(2)=1/5・2/5+2/5・1/5+2/5・2/5=8/25。
p2(2)=8/25。
p3(0)=p2(0)1/5+p2(1)2/5+p2(2)1/5=9/25・1/5+8/25・2/5+8/25・2/5=41/125
p3(1)=p2(0)2/5+p2(1)1/5+p2(2)2/5=9/25・2/5+8/25・1/5+8/25・2/5=42/125。
p3(2)=8/25。
pn(0)をカンタンのためにpnとしよう。
これから、と一般化できるね。
仮にとすると、
(別解)
pnがほぼほぼ3分の1であることに着目する。
pnの3倍の数列qnを書き出すq1=3/5, q2=27/25, q3=123/125, q4=627/625,....
分子が分母より2小、2大、2小、2大、...のくり返し。
qnの分母は5nだから、分子は5n+(-1)n・2。
だから、pn=1/3 ・qn=