13.微分と数値・物理計算
1.運動のパラメータはt
このページは電子ブック「探求 数学Ⅲ」の一部です。
・時刻[time,instance,moment]tに対する点の位置,変位[position、displacement]をf(t)とするとき、
時刻tでの点の速度[velocity]v=f'(t)で求められる。
時刻tでの点の加速度[acceleration]a=f''(t)で求められる。
たとえば、点の位置をy=sin(kt)としてみよう。
速度v=f'(t)=cos(kt)・kとなるね。
また、加速度a=-k2sin(kt)=-k2y。
これは、kt=θとしてみると、(x,y)=(cosθ、sinθ)という単位円周上の点の動きを、
y軸だけに投影した運動になるね。
加速度a=-k2yから、加速度は原点からの距離yに比例したサイズで逆向きに働いているのがわかるね。
これはよく単振動[Simple harmonic motion]と呼ばれている。バネの上下振動のような動きだ。
・では、次にx軸も入れて、単位円周上の動点P(x,y)の動きをベクトルとしてとらえてみよう。
kを正定数とする。
(例)
位置ベクトルp =(x,y)=(cosθ, sinθ)=(cos(kt), sin(kt))=(g(t), f(t))としよう。|p|=1
x2+y2=1 y/x=sin(kt)/cos(kt)=tan(kt)
速度ベクトルv =(g'(t),f'(t))=(-k・sin(kt), k・cos(kt) ) |v|=|k|
dy/dx=(dy/dt)/(dx/dt)= k・cos(kt) /(-k・sin(kt))=-1/tan(kt) これは位置ベクトルと直交してるね。
加速度ベクトルa =(g''(t),f''(t))=(-k2cos(kt), -k2・sin(kt))=-k2(x,y) |a|=|k2|
(例)
「(x,y)=(pt2,2pt)pが正定数とするときの、速度、加速度のベクトル」は?
x=pt2にt=y/2pを代入すると、x=p(y/2p)2=y2/4p.だから、頂点が原点の放物線。
しかも、t=0のとき原点にある。tが負のときyが負、tが正でyが正。xはつねに正。
v=(2pt, 2p) 原点から離れるほどスピードアップするね。ただし、y軸方法は等速運動。
a=(2p,0)。x方向の加速度は一定2p、y軸方向は0。
(例)
「(x,y)=(vcosθ・t, vsinθ・t-1/2gt2)gが重力加速度とするときの、速度、加速度のベクトル」は?
v=(vcosθ, vsinθ-gt)、a=(0, -g) x軸は等速度運動、y軸が重力加速度の斜め投げ上げ。
vy=0になるのは、vsinθ=gt。t=vsinθ/g=tTopのときy軸方向の速さが0になる。
y=0になるのは、t=0か、1/2gt=vsinθとなる、t=2vsinsθ/g=tTOpの2倍。
2.数値近似
<極限値の利用>
x→0のときの極限値を利用しよう。
sinx/x→1、tanx/x→1、ln(1+x)/x→1、(ex-1)/x→1
だから、
x=0に近い数値の関数値を求めたいとき
sinx、tanx、log(1+x)をxとして、ex=1+xとして、
数値計算することもあるね。
<導関数>
微分係数の定義式を変形して近似式にしてみよう。
h→0のとき、(f(a+h)-f(a))/h→f'(a)
hがゼロでなくて、ゼロに近いと近似式ができるね。
これをf(a+h)について解くと、
f(a+h)≒f(a)+hf'(a)になる。
aを0にして、hをxに置き換えると
xがゼロでなくて、ゼロに近いと近似式ができる。
f(x)≒f(0)+xf’(0)
これは、x=0での接線で曲線を近似した式だね。
ということは、x=aでも接線を引けるから
f(x)=f'(a)(x-a)+f(a)と近似直線の式ができる。
(例)
「log(0.999e)の近似値」は?
f(x)=logxとするときのx=eでの接線の方程式を求めよう。
f'(x)=1/x, f(e)=loge=1だから、f(x)=f'(e)(x-e)+f(e)=(x-e)/e+f(e)。
ということは、x=0.999eを入れると、
log(0.999e)≒(0.999e-e)/e+1=-0.001+1=0.999
(例)
「xが0とπ/2のときのtanx=1.001の近似値」は?
f(x)=tanxとするとき、x=π/4での接線の方程式を求めよう。
f'(x)=1/cos2x, f(π/4)=1だから、f(x)=f'(π/4)(x-π/4)+f(π/4)=2(x-π/4)+1=1.001。
これを逆算すると、2(x-π/4)=0.001より、x=π/4+0.0005。
(例)
hが0に近いとき
sin(a+h)=sin(a)+hsin'(h)=sin(a)+hcos(a)。
たとえば、1°=2π/360=π/180から、sin(29)°の近似値を求めてみよう。
sin(29°)=sin(30°)+(-1°)・cos(30°)=1/2+(-3.14/180)・1.732/2≒0.485
<マクローリン級展開>
x=0中心の近似式
ex=1 +x +x2/2! +x3/3! +....... +xn/n!+.......
sinx= x -x3/3! +x5/5! -x7/7!+...........+(-1)(n-1)x(2n-1)/(2n-1)!+......
cosx= 1 -x2/2! +x4/4! -x6/6!+...........+(-1)nx(2n)/(2n)!+......
log(1+x)= x -x2/2 +x3/3 -x4/4+...........+(-1)(n-1)xn/n+......