ファノ平面を組み合わせ論的に観察しよう
このページはマス旅の一部です。
アファイン平面に無限遠点と無限遠直線を追加することで、
有限体F2からできたPG(2,2)={0,1}^2という、
点も直線も7ある最小世界の存在を知った。これが「ファノ平面」だ。
今回はファノ平面の視覚化をやってみよう。
1.PG(2,2)の思い起こし
ファノ平面は最小の射影平面です。
その特徴を思い起こしてみよう。
<7点>
F2ベースのPG(2,2)の7点
p0[0,0,1],p1[0,1,1],p2[1,0,1],p3[1,1,1],
p1∞[0,1,0],p2∞[1,0,0],p3∞[1,1,0]
<7直線>
L01:1x+0y+0z=0 {[0,0,1],[0,1,1],[0,1,0]} x=0
L02:0x+1y+0z=0 {[0,0,1],[1,0,1],[1,0,0]} y=0
L03:1x+1y+0z=0 {[0,0,1],[1,1,1],[1,1,0]} x+y=0
L23:1x+0y+1z=0 {[1,0,1],[1,1,1],[0,1,0]} x+z=0
L13:0x+1y+1z=0 {[0,1,1],[1,1,1],[1,0,0]} y+z=0
L12:1x+1y+1z=0 {[0,1,1],[1,0,1],[1,1,0]} x+y+z=0
L∞:0x+0y+1z=0 {[0,1,0],[1,0,0],[1,1,0]} z=0
<交点と共線>
外積を使うことで、2点の共線、2線の交点を求めることができた。
まあ、それをやらなくても、各直線は3点を通る。
2.対等性をめざすと対称図形ができる
アフィン平面をベースにしてPG(2,2)を作った関係上、
どうしても、追加された点や直線は特別扱いしがちだ。
しかし、双対性の原理、同次座標のメリットから考えれば、
むしろ「組み合わせ論的」に見直しが必要になるでしょう。
7つの点を「アフィンの4点」を基準にすることをやめる。
[0,0,0]は不定だから除いた。
普通に考えれば、
単位ベクトル的な風貌の
A[1,0,0],B[0,1,0],C[0,0,1]が基準になるでしょう。
すると、三角形ABCができる。
三角形の重心がG[1,1,1](連比だから÷3は不要)
<中点>
すると、点ベクトルをたすだけで中点ベクトルが出せるね。(÷2は不要)
A+B=[1,0,0]+[0,1,0]=[1,1,0]はCの対辺上。
B+C=[0,1,0]+[0,0,1]=[0,1,1]はAの対辺上。
C+A=[0,0,1]+[1,0,0]=[1,0,1]はBの対辺上。
<ファノ平面独自の表記>
A,B,C,Gは座標の[,]を略してつなぎ、p_100,p_010,p_001,p_111
A+B,B+C,C+Aは、p_110,p_011,p_101とかく。
そして、すると、直線は3辺の3本、頂点と対辺を結ぶ3本。
あと1本は3中点を結ぶ線で、これは円にするしかない。
有限体の射影幾何は「交点、共線」が重要であり、
「向きやなめらなさ」はどっちでもよくなる。
わりと位相幾何に近い世界になってきてるね。
課題:ファノ平面をgeogebraで視覚化しよう。
geogebraの極座標表示を使うとカンタンに円周3等分の位置ベクトルが作れます。
(r;θ)のrが原点からの距離、θがx軸の正部分からの角度です。
P_{100}=(2; ((π)/(2)))
P_{010}=(2; ((π)/(2))+2 pi/3)
P_{001}=(2; ((π)/(2))+4 pi/3)
P_{111}=(0; 0)
P_{011}=(1; ((3 π)/(2)))
P_{101}=(1; ((3 π)/(2))+2 pi/3)
P_{110}=(1; ((3 π)/(2))+4 pi/3)
Segment(P_{100},P_{010})
Segment(P_{100},P_{001})
Segment(P_{010},P_{001})
Segment(P_{100},P_{011})
Segment(P_{010},P_{101})
Segment(P_{001},P_{110})
Circle(P_{111},1)
Segmentのラベルは非表示にして、格子も軸も表示のチェックをはずします。
また、背景は全体の設定の上級から好きな色を選びましょう。
ファノ平面
3. ファノ平面を組み合わ論的にみる
<双対性>
ファノ平面は、7つの点と7つの直線がある不思議な図形ではありません。
図形としての対称性と、点と線の対称性(双対性)が両立していますよ。
全体の点の数: 7個
全体の直線数: 7本
任意の1直線にある点の数: 3個
任意の1点を通る直線の数: 3本
任意の異なる2点は必ずちょうど1本の直線で結ばれる。
任意の異なる2直線は必ずちょうど1つの点で交わる。
<8元数(オクトニオン)と同型>
実は、このファノ平面の「3点が乗った7つの直線」という組み合わせ構造は、
8元数(Octonion )の積の法則と1対1対応しています。
8元数は 7 つの虚数単位 e_1, e_2, e_3, e_4, e_5, e_6, e_7 を持ちますが、
ファノ平面の7つの直線(円を含む)に向き(矢印)をつけると、
同じ直線上の3点 e_i, e_j, e_k について
e_i ◦ e_j = e_k (逆方向なら -e_kで、自分自身との積はー1)
という非巡回的な積のルールがそのまま再現できるのです。
課題:「任意の」の具体化と8元数の表の作成をしてよう。
行に「7つの点」、列に「7つの直線」を並べた7行7列の行列を作ります。
成分は、点 p_{xyz} と直線 L の関係を、1(載っている)と0(載っていない)として調べたものです。
接続行列(Incidence Matrix)を作ってみましょう。
図形のアプレットにします。
テキストの挿入を選び、次のようなLatex文で表を作ります。
タイトルは「ファノ平面と8元数の積の対応」
\begin{tabular}{|c|c|c|c|c|c|c|c|}\hline\ ある & L_{01}& L_{02} & L_{03} & L_{13} & L_{23} & L_{12} & L_{\infty}
\\ \hline p_{100} & 0 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1
\\ p_{010} & 1 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1
\\ p_{001} & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0
\\ p_{110} & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 1 & 1
\\ p_{011} & 1 & 0 & 0 & 1 & 0 & 1 & 0
\\ p_{101} & 0 & 1 & 0 & 0 & 1 & 1 & 0
\\ p_{111} & 0 & 0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 1
\\ \end{tabular}
\begin{tabular}{|c|c|c|c|c|c|c|c|}\hline\ ◦ & e_{1}& e_{2} & e_{3} & e_{4} & e_{5} & e_{6} & e_{7}
\\ \hline e_{1} & -1 & e_{4} & e_{7} & -e_{2} & e_{6} & -e_{5} & -e_{3}
\\ e_{2} & -e_{4} & -1 & e_{5} & e_{1} & -e_{3} & e_{7} & -e_{6}
\\ e_{3} & -e_{7} & -e_{5} & -1 & e_{6} & e_{2} & -e_{4} & e_{1}
\\ e_{4} & e_{2} & -e_{1} & -e_{6} & -1 & e_{7} & e_{3} & -e_{5}
\\ e_{5} & -e_{6} & e_{3} & -e_{2} & -e_{7} & -1 & e_{1} & e_{4}
\\ e_{6} & e_{5} & -e_{7} & e_{4} & -e_{3} & -e_{1} & -1 & e_{2}
\\ e_{7} & e_{3} & e_{6} & -e_{1} & e_{5} & -e_{4} & -e_{2} & -1
\\ \end{tabular}
最小の射影平面であるファノ平面の「点と直線の接続関係」に向きを1つ与えるだけで、
8次元空間の非巡回・非結合的な「代数演算」のルール(積の表)ができるのです。
幾何の構造が代数のルールを決めるというのが面白いですね。
ファノ平面と8元数の積の対応
