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空洞化の定理たち?

1。∇のいろいろ

このワークシートはMath by Codeの一部です。 ガウスの定理、ストークスの定理の共通点は 中で打ち消しあうから、表面だけみても同じだという内容だけでない。 両方とも∇(ナブラ)というベクトルの微分を積分するという点もある。 そこで、まずナブラを思い出しながら広げてみよう。 <∇の思い起こし> ヤングの定理が便利。U(x,y)が連続微分できるなら、2つの偏微分は入れ替え可能だ。(Uxy=Uyx) ・fの勾配ベクトルgrad f=(∂f/∂x, ∂f/∂y) とか、(∂f/∂x, ∂f/∂y, ∂f/∂z) のfの前の部分を演算子として取り出した(∂/∂x, ∂/∂y)とか(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)を∇と名付けたね。 ・基本の使い道は2つで、  ベクトルA=(Ax,Ay,Az)に対して  内積∇・A=div A(Aの 流れ出し、発散)  外積∇×A=rot A(Aのうず、回転) ・rot(grad f) =0 (∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)×(∂f/∂x, ∂f/∂y, ∂f/∂z) =( fzy-fyz, fxz- fzx, fxy-fyx) =(0,0,0)=0 ・div(rot A) =0 (∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)・(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)×(Ax,Ay,Az) =(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)・(∂Az/∂y-∂Ay/∂z, ∂Ax/∂z-∂Az/∂x, ∂Ay/∂x-∂Ax/∂y) = (Az)yx-(Ay)zx+ (Ax)zy-(Az)xy+(Ay)xz-(Ax)yz =0 ・∇2=∇・∇=(∂2/∂x2, ∂2/∂y2, ∂2/∂z2)をラプラシアンという。 ・∇・∇×A=0  div (rot A)だから、0 ・∇×∇f=0 rot(grad f) だから、・div(fA)= ∇・(fA) = (∇f)・A+ f(∇・A) スカラーとベクトルの積の∇微分公式 ∇・(fA)=(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)・(fAx,fAy,fAz) =∂/∂x (fAx)+ ∂/∂y(fAy) + ∂/∂z(fAz) =∂f/∂x (Ax)+f ∂(Ax)/∂x + ∂f/∂y(Ay)+ f ∂(Ay)/∂y+ ∂f/∂z(Az)+ f∂(Az)/∂z =∂f/∂x (Ax)+ ∂f/∂y(Ay)+ ∂f/∂z(Az)+f ( ∂(Ax)/∂x + ∂(Ay)/∂y+ ∂(Az)/∂z ) =(∂f/∂x, ∂f/∂y, ∂f/∂z)・(Ax+Ay+Az)+ f((∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)・(Ax,Ay,Az)= (∇f)・A+f(∇・A)

2。ガウスの定理はところてん?

<ガウスの定理>  ガウスの定理は、発散の積分について定理。これって、ところてんの定理?  閉曲面Sで囲まれた領域Vがベクトル場f=(f,g,h)のとき、  微小体積の熱変化量[∂f/∂x +∂g/∂y+∂h/∂z]⊿x⊿y⊿z=div f を集めると、 有限体積Vの熱変化量div f の体積分が出せる。  領域V全体のfの総和(体積分)= 表面Sだけのfの内積の総和(面積分)  数式にすると、  ∫V div f dV=∫S f ・dS (ガウスの発散定理) 微小立体がつまっている状態では、隣接面での熱の出入りは相殺される。  だから、集めたあとの全体の立体の表面だけで熱の出入りを求めることができるはずだね。 ・ 数式で考えると 積分の線形性、 f=∫∂f/∂x dx, g=∫∂g/∂y dy, h =∫∂h/∂z dz、  dS=(dSx,dSy,dSz)=(dydz, dxdz, dxdy)  などから、 ∫v div f dV= ∫∫∫v div f dxdydz=∫∫∫v (∂f/∂x +∂g/∂y+∂h/∂z ) dxdydz =∫∫Sx (∫∂f/∂x dx)dydz+∫∫Sy (∫∂g/∂y dy)dxdz+∫∫Sz (∫∂h/∂z dz)dxdy =∫∫Sx f dydz+∫∫Sy g dxdz+∫∫Sz h dxdy =∫S f dSx+∫S g dSy+∫S h dSz =∫S (f dSx+g dSy+h dSz) =∫S f ・dS  (例) 閉曲面Sの領域Vで 全電荷をQ、電場をE、電荷密度をρ、真空の誘電率をε0とすると、Sはベクトル場Eとなり、 SE・dS=Q/ε0=∫v ρ dV /ε0 =∫v 1/ε0 ρ dV  これをガウスの法則(積分形)という。 一方、ガウスの定理から∫SE・dS=∫V divE dVだから、 divE=1/ε0 ρ。これをガウスの法則(微分形)という。 (例) 半径aの球面S内の領域Vで一様に電荷ρがあるとき、中心からa以下のrの点の電場E(r)を求める。 ガウスの法則の積分形∫SE・dS(面積分)=∫v 1/ε0 ρ dV(体積分) 半径rの体積4/3πa3、半径rの表面積は4πr2  体積分 ρ/ε0 v 1 dV =ρ/ε0 4/3πr3 面積分 ∫SE(r)・dS=E(r) 4πr2  半径r以下の領域では、上記の体積分と面積分が等しいので、E(r)=ρ/ε0 4/3πr3/4πr2=ρr /3ε0 (例) 半径1の球面Sはベクトル場f=(ax, by,cz) の面積分∫Sf・dSをガウスの定理で求める。 半径rの体積4/3πa3、半径rの表面積は4πr2  div f= ∇・f=∂(ax)/∂x +∂(by)/∂y+∂(cz)/∂z=a+b+c 面積分∫Sf・dS=体積分∫v div f dV=∫v (a+b+c)dV= (a+b+c )∫v 1dV=4/3π(a+b+c )

一様電荷qの電場の強さE(r)

3.グリーンの定理も空洞?

<立体のグリーンの定理> ガウスの法則は体積分を面積分に直せるという、 中抜き、空洞化の定理だった。 これを使うと、立体のグリーンの定理というものが証明できる。  閉曲面Sで囲まれた領域Vにスカラー場f(x,y,z)、g(x,y,z)があるとき、  ∂f/∂n, ∂g/∂nはSに対する外向き法線方向の方向微分係数としよう。  そのとき、つぎの「体積分=面積分」という関係が2つ成り立つことを「グリーンの定理」という。  (式1)∫{ f ∇2g +∇f・∇g } dV = ∫S f ∂g/∂n dS  (式2)∫{ f ∇2g - g ∇2f } dV = ∫S (f ∂g/∂n- g ∂f/∂n)dS (理由)  ガウスの定理∫V div f dV=∫S f ・dS=∫S f n dS ・fにf ∇gを代入すると  ∫V div(f ∇g) dV = ∫S (f ∇g)・n dS 左辺の積分で、積の∇微分公式から、div(f ∇g)=∇・(f∇g)=∇f・∇g+f∇2g 右辺の積分で、∇g・n dS= ∂g/∂n n・n dS=∂g/∂n dS  これから式1がでる。 ・fにg ∇fを代入すると 式1のf,g入れかえ式ができる。  (式1R)∫{ g ∇2f +∇g・∇f } dV = ∫S g∂f/∂n dS 式1Rー式1から、∫{ f ∇2g - g ∇2f } dV = ∫S (f ∂g/∂n- g ∂f/∂n)dS これが式2だね。
<平面のグリーンの定理> 閉曲線Cでかこかれた領域Sのスカラー場f,gに対して、  ∫∫S (∂g/∂x-∂f/∂y) dxdy= ∳C (f dx +g dy)  積分の線形性から、 (式1)∫∫S (-∂f/∂y) dxdy= ∳C f dx  (式2)∫∫S (∂g/∂x) dxdy= ∳C g dy  に分けて考えてよいね。 ・式1 閉曲線Cでかこかれた領域Sのスカラー場fに対して、 面積分∫∫S (-∂f/∂y) dxdyをすることは、 閉曲線Cをx値の下端a, 上端bの点A,Bで2分割して、 y座標の上側をC2(y=y2),下側をC1(y=y1)として反時計回りに線積分することと同じになる。 ∫∫S (-∂f/∂y) dxdy=-∫aby1y2(∂f/∂y dy) dx =-∫ab[f] y1y2 dx = -∫ab[f(y2)-f(y1)] dx = ∫baf(y2)dx+∫abf(y1)dx=∫C2f(y2)dx+∫C1f(y1)dx=∫Cf dx 上側C2がBA順の経路、下側C1がAB順の経路の積分だから、 AとBでつないで閉曲線Cの1周の経路積分になることがわかるね。図をかくとよくわかるでしょう。 ・式2 閉曲線Cでかこかれた領域Sのスカラー場gに対して、 面積分∫∫S (∂g/∂y) dxdyをすることは、 閉曲線Cをy値の下端a, 上端bの点A,Bで2分割して、 x座標の右側をC2(x=x2),下側をC1(x=x1)として反時計回りに線積分することと同じになる。 ∫∫S (∂g/∂x) dxdy=∫abx1x2(∂g/∂x dx) dy =∫ab[g] x1x2 dy = ∫ab[g(x2)-g(x1)] dy = ∫abg(x2)dy+∫bag(x1)dy=∫C2g(x2)dy+∫C1g(x1)dy=∫C gdy 右側C2がAB順の経路、下側C1がBA順の経路の積分だから、 AとBでつないで閉曲線Cの1周の経路積分になることがわかるね。 ★閉曲線にへこみがあるときは、適当に凸になるように領域を分割する。 各領域で平面のグリーンの定理が成り立ち、分割線で切った境界線での積分方向が逆向きになるから、分割した積分を合体することで打ち消しあう。 だから、へこみのある領域でも平面のグリーンの定理は成り立つことがわかるね。

4.ストークスの定理はふちだけのメロンパン?

<ストークスの定理> ストークスの定理は、うず、回転の積分の定理。これって、メロンパンの定理? 閉曲線Cを境界線とする曲面Sがベクトル場=(f,g,h)のとき、  微小領域dSでのうずであるrot f =∇×f を集めると、曲面S全体の合計がでる。  ガウスの発散の積分と同様に隣接する微小面どうしのうずは打ち消しあうので、  境界線Cの線素ベクトルdp=(dx,dy,dz)にそって合計してもよい。 曲面S全体のうず∇fの総和(面積分)= 境界Cだけのfの総和(線積分) S (rot f)・ dS =∫c f ・dp  ストークスの定理。 ・数式で考える。  パラメータu,vが曲線C0でかこまれた領域S0を動くときに、  空間内の曲面Sの境界線がCで、Sの方程式がr(X,Y,Z)=r(u,v)としよう。   位置rの2つの接ベクトルが∂r/∂u,∂r/∂vになるから、 接平面がdS=|∂r/∂u×∂r/∂v|dudv, 単位法線ベクトルn=∂r/∂u×∂r/∂v /|∂r/∂u×∂r/∂v| ∇=(∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z) , f=(f,g,h) から、 rot f=∇×f = ((∂h/∂y-∂g/∂z), (∂f/∂z- ∂h/∂x) (∂g/∂x-∂f/∂y))  ∂r/∂u×∂r/∂v=(Xu,Yu,Zu)×(Xv,Yv,Zv)=(YuZv-ZuYv, XvZu-XuZv,XuYv-YuXv) (rot f)・dS= (rot f)・n dS= (rot f)・∂r/∂u×∂r/∂v /|∂r/∂u×∂r/∂v| |∂r/∂u×∂r/∂v|dudv =(rot f)・∂r/∂u×∂r/∂v dudv = ((∂h/∂y-∂g/∂z), (∂f/∂z- ∂h/∂x) (∂g/∂x-∂f/∂y))・(YuZv-ZuYv, XvZu-XuZv,XuYv-YuXv) dudv =[ (∂h/∂y-∂g/∂z)(YuZv-ZuYv)+ (∂f/∂z- ∂h/∂x) (XvZu-XuZv)+ (∂g/∂x-∂f/∂y)(XuYv-YuXv)]dudv また、Uが偏微分可能な連続関数ならUxUy=UyUzだからUxUy-UyUx=0を数式にたしてよい。 ・ここからが面積分の開始 ∫S (rot f)dS= ∫S0[ (∂h/∂y-∂g/∂z)(YuZv-ZuYv)+ (∂f/∂z- ∂h/∂x) (XvZu-XuZv)+ (∂g/∂x-∂f/∂y)(XuYv-YuXv)]dudv =∫S0[ (∂f/∂z (XvZu-XuZv) -∂f/∂y(XuYv-YuXv) +∂g/∂x(XuYv-YuXv) -∂g/∂z)(YuZv-ZuYv) +∂h/∂y(YuZv-ZuYv) - ∂h/∂x) (XvZu-XuZv)]dudv =∫S0[ (∂f/∂z XvZu-∂f/∂zXuZv -∂f/∂yXuYv+∂f/∂yYuXv +∂g/∂xXuYv-∂g/∂xYuXv -∂g/∂zYuZv+∂g/∂zZuYv +∂h/∂yYuZv-∂h/∂yZuYv - ∂h/∂xXvZu+∂h/∂xXuZv)] dudv =∫S0[ (Xv(∂f/∂z Zu+∂f/∂yYuXv) -Xu(∂f/∂zZv +∂f/∂yYv) +∂f/∂x(XuXv-XvXu)  0になる項を加える   +Yv(∂g/∂xXu+∂g/∂zZu)-Yu(∂g/∂xXv +∂g/∂zZv) +∂g/∂y(YuYv-YvYu)   +Zv(∂h/∂yYu+∂h/∂xXuZv)-Zu(∂h/∂yYv +∂h/∂xXv) +∂h/∂z(ZuZv-ZvZu) ]dudv =∫S0[ (Xv(∂f/∂x Xu +∂f/∂yYu+∂f/∂z Zu) -Xu(∂f/∂x Xv+∂f/∂yYv+∂f/∂zZv)   +Yv(∂g/∂xXu+∂g/∂yYu+∂g/∂zZu)-Yu(∂g/∂xXv +∂g/∂yYv+∂g/∂zZv)   +Zv(∂h/∂xXuZv+∂h/∂yYu+∂h/∂zZu)-Zu(∂h/∂xXv+∂h/∂yYv +∂h/∂zZv) ]dudv =∫S0[ (∂f/∂u Xv -∂f/∂v Xu) +(∂g/∂u Yv -∂g/∂v Yu)+(∂h/∂u Zv-∂h/∂v Zu) ]dud∂h/∂vv =∫S0[ (∂/∂u (f Xv) -∂/∂v (f Xu)) +(∂/∂u(g Yv) -∂/∂v(g Yu))+(∂/∂u(h Zv)-∂/∂v(h Zu)) ]dud∂h/∂vv =∫C0[ (f Xu)du +(f Xv) dv + (g Yu) du + (g Yv)dv +(h Zu)du +(h Zv)dv ]dudv グリーンの定理から =∫C0[ (f Xu)du +(f Xv) dv] dudv +∫C0[ (g Yu) du + (g Yv)dv] dudv +∫C0[ (h Zu)du +(h Zv)dv ]dudv =∫C (f dx + g dy + h dz) 全微分から = ∫C f・dp (例) アンペールの法則 閉曲面Sで単位面積を流れる電流ベクトル(電流密度)i の面積分と 境界線Cでの磁場の強さHの線積分は等しい。 S i (x,y,z)・ dS =∫c H ・ds  積分形。 rot H = i (x,y,z) 微分形 (例) z軸を中心とする半径aの円柱に電流が流れていて、電流密度が i0, 電流からrの距離の磁場の強さH(r) 半径rの境界線Cでの磁場の強さの線積分は、Cの内部の閉曲面の電流ベクトルの面積分に等しい。 (円柱の外部) 半径aと半径rの間の電流は0なので、半径aの円Aで面積分すればよい。 面積分∫S i (x,y,z)・ dS =∫A i0 dS=i0 ∫A 1dS =i0 πa2 線積分∫c H(r)ds=H(r)∫c 1ds = H(r)2πr この2つが等しいので、 H(r)=i0 πa2 /2πr=i0 a2/2r (円柱の内部) 半径r以下はすべて電流が流れているので、半径rの円Rで面積分すればよい。 面積分∫S i (x,y,z)・ dS =∫R i0 dS=i0 ∫R 1dS =i0 πr2 線積分∫c H(r)ds=H(r)∫c 1ds = H(r)2πr この2つが等しいので、 H(r)=i0 πr2 /2πr=i0 r/2

電流からの距離rの磁場の強さH(r)