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5。複素数と高次方程式

1.整式と高次方程式

<割り算の商と余り> 「剰余の定理」整式P(x)を一次式(x−a)で割った余りはP(a)。 (理由)一次式(x-a)で割った商がQ(x)、 余りがrとするとP(x)=(x-a)Q(x)+rとおける。P(a)=rとなる。 x=aは、割る一次式の値=0するから、p(a)で余りを求めることができた。 (拡張版)整式P(x)を一次式(ax+b)で割った余りはP(-b/a)。 (理由)x=-b/aは、一次式(ax+b)の部分を0にするから、P(-b/a)が余りに等しい。 「因数の定理」整式P(x)が因数(x-a)を持つならP(a)=0。 (理由)剰余=0になれば、わる式が因数になるから。 (例)「整式P(x)を(x-1)で割った余りが3で、(x+1)で割った余りが1となるとき、 整式P(x)を(x-1)(x+1)で割った余り」は? P(1)=3,P(-1)=1だから、P(x)=ax+bとおくと、a+b=3,-a+b=1 から、b=2,a=1となる。余りは、x−2。 (例)「整式P(x)をx2+2x+3で割るとx+4余り、x2+2で割ると-1余る、最小次数の整式P(x)」は? P(x)を4次式(x2+2x+3)(x2+2)で割った余りt(x)は3次以下。 P(x)を割った余りはt(x)を割った余りだから、t(x)=(x2+2)(px+q)-1=(x2+2x+3)(ax+b)+x+4  これから、(p,q,2p,2q-1)=(a,2a+b,3a+2b+1, 3b+4)係数比較から、p=a=1,b=-1, q=1。  最小次数のP(x)=t(x)=px3+qx2+2px+2q-1=x3+x2+2x+1。 (例)「3次以上の整式P(x)=xn-1を(x-1)3で割った余り」は?  変数変換しても余りが出せる。x-1=tとおくとP(t)=(t+1)n-1を2次式t3で割った余りは、  tの2次以下の部分でnC2t2+nC1tだね。  この余りの式をxの式にもどそう。nC2(x-1)2+n(x-1)=nC2x2+(n-nP2)x-n+nC2。 <高次方程式の解法> 因数分解を使って次元を下げる。 定数項の約数(÷最高次の係数の約数)を、 因数定理を使うことで、因数を見つける。 2乗、3乗を置き換えることで、次元を下げた式として扱う。 定数項の√などにも着目する。 解と係数の関係の利用。 (例)x³+8=0を解く。    x3+23=(x+2)(x2-2x+22)=0からx=−2。   さらに、x2-2x+4=0から、x= (例)P(x)=x³+x²-14x+6=0を解く。   P(2)=8+4-28+6<0 だめ。P(3)=27+9-42+6=0    筆算で(1 1 -14 6) ÷(1 -3)=(1 4 -2) P(x)=(x-3)(x2+4x-2)=0 x=3, (例)t=x2とすると、x4-x2-12=0からt2-t-12=(t+3)(t-4)=0。   x2=4,-3。x= (例)t=x2とすると、x4+x2+25=0から、 t2+t+25=(t+5)2-9t=(x²+5)²-(3x)²=(x²+3x+5)(x²-3x+5)=0。 (複合任意) <N乗根と複素平面> 複素数を極形式z=a+bi=r(cosθ+sinθ i)とかくと,zは複素平面乗の点に対応する。 zn=1の解をfとすると、(fk)n=fnk=(fn)k=1だから、fkも解になる。 したがって、解は単位円をn等分した複素数n個となる。

2.3次方程式の解法と利用

<3乗根> x³=1の解は1,ω, ω²。ω²+ω=-1、ω³=1のように次元下げができる。 (例) (例)x²+x+1=0とすると、x=ω,ω²が解となるので、  x²+x+1=(x-ω)(x-ω2)と分解できる。   x²−xy+y²=(x+ωy)(x+ω²y)、  x²−xy+y²=(ωx+ω²y)(ω²x+ωy)のように分解できる。 解と係数の関係3次方程式ax³+bx²+cx+d=0の3解α、β、γについて、次の関係がある。 a(x-α)(x-β)(x-γ)を展開して、ax³+bx²+cx+d=0と同次の係数を比べると、 (例)3次の係数が1,2次の係数が−6,  1つの解が2+iとなる係数が実数の3次方程式は?  共役複素数2+i,2-iの和が4, 積が5から、x²-4x+5を因数にもつ3次式になる。  のこりの解αに対して、3解の和=α+4=-(-6)=6となるから、α=2。  1次の係数はα(2虚数の和)+2虚数の積=2・4+5=13 ,   定数項は-3解の積=-10。 (例)対称式は基本対称式で表せる。 「実数x,y,zでx+y+z=0, x3+y3+z3=3,x5+y5+z5=15のとき、a=x2+y2+z2の値」は? xy+yz+zx=b, xyz=cとおこう。 (x+y+z)2=x2+y2+z2+2(xy+yz+zx)だから、0=a+2b。 x3+y3+z3-3xyz=(x+y+z)(x2+y2+z2-xy+yz+zx)だから、3-3c=0。c=1 x5+y5+z5=(x3+y3+z3)(x2+y2+z2)-{x3(y2+z2)+y3(x2+z2)+z3(x2+y2)} 15=3a-{(xy)2(x+y)+(yz)2(y+z)+(zx)2(z+x)} =3a+{(xy)2(z)+(yz)2(x)+(zx)2(y)}=3a+xyz(xy+yz+zx)=3a+1b。 a=-2b。b=15-3a。だから、a=-2(15-3a)=-30+6a。a=30/(6-1)=6。 <3次方程式の解の公式(参考)> 実数係数の3次方程式 の解の公式作成する。 を同一視して、 とおくと、より、 この式を解と係数の関係としてみると、 Y,Zは2次方程式の解になる。 この2次方程式の判別式はD=で、 t がY,Zになり、b,cから計算できる。 y,zはこのtの3乗根で計算できる。 一方で1の3乗根を1,ω,ω²とすると、 = =  Xについて解くと、だ。 (例)「x³+6xー20=0」なら、Y,Zがt²+20t−8=0の解でD/4=100+8=108>0、  t=-10+6√3, -10-6√3 -t=pとして、p³=(a+b√3)³=10+6√3となる整数はa=b=1となる。 よって、 =   (別解)因数定理でx=2を探し、(1 0 6 -20)÷(1 -2)=1 2 10 から、   x²+2x+10=0を解いて、 2つの虚数解x=-1+√3i ,-1ー√3iも求める。 (例)「x³ー15xー4=0」なら、 Y,Zがt²+4t+125=0の解でD/4=4ー125=ー121<0、  t=-2+11i, -2ー11i -t=pとして、p³=(a+bi)³=2+11iとなる整数はa=2,b=1となる。 よって、 =   (別解)因数定理でx=4を探し、(1 0 -15 -4)÷(1 -4)=1 4 1 から、x²+4x+1=0を解いて、 残りの実数解x=-2ー√3, -2+√3も求める。 (例)「x³ー3x+2=0」なら、 Y,Zがt²-2t+1=0の解でD/4=1ー1=0、t=1,1(重複解) よって、   (別解)因数定理でx=-2を探し、(1 0 -3 2)÷(1 2)=1 -2 1 から、   x²-2x+1=0を解いて、残りの解x=1,1(重複)も求める。 (例)「実係数の3次方程式x3ー2(α+β)x2+(α222)x-8√3=0の3つの複素数解α,β,γ」は? 実係数だから、α+β+γ=2(α+β)、αβ+(α+β)γ=α222、αβγ=8√3。  α+β=γ、αβ+γ2222となり、α22=(α+β)2-2αβ=γ2-2αβ=αβ。だから、γ2=3αβ。  γ3=3αβγ=24√3。γ=2√3=α+β。αβ=8√3/(2√3)=4 αとβはt2-2√3t+4=0の解。  t=√3±√(3-4)=√3±i(αとβ)、γ=2√3。

3.3次方程式の判別式

<3次方程式の判別式> の判別式D=とすると、 重複解なら「=0」になり、異なる3実数なら「正」になる。 3つの解をα(実数)、β=p+qi、γ=p-qiとするとき、「負」になる。 (確認) D= =<0となる。 <判別式を係数で表す> の判別式 D== 特にbが3の倍数で、cが2の倍数のときは次のように約すと計算しやすい。 D/(27・4)= ※この値はt²-ct-(b/3)³=0の判別式を4倍して符号を逆転したものになっている。 解と係数の関係から、対称式を利用して判別式を係数で表す。 となる。 まず、ありそうな対称式を3乗まで計算してみる。 すると、 = = (例)x³−6x-20=0なら、D/27・4=-((-6/3)³+(-20/2)²)=-108<0から1実数と虚数解。    x³-15x-4=0なら、D/27・4=-((-15/3)³+(-4/2)²)=-(-121)=121>0から3実数解。    x³−3 x+2=0なら、D/27・4=-((-3/3)³+(2/2)²)=-(-1+1)=0から重複解と1実数解。 (例) 「f(x)=x3+(a-1)x2+(a-3)x-2a+3=0が重複解をもつときのaの値と重複解」は? f(1)=1+a-1+a-3-2a+3=0からx=1が解。係数分離で割り算する。 (1,a-1,a-3,-2a+3)÷(1,-1)=(1,a,2a-3)から、g(x)=x2+ax+2a-3=0とx=1の関係を調べる。g(1)=1+a+2a-3=3a-2=0。a=2/3のときは重複解はx=1。 g=0がx=1以外の重複解x=-a/2を持つにはD=a2-4(2a-3)=a2-8a+12=(a-2)(a-6)=0。 a=2なら重複解はx=-1,a=6なら重複解はx=-3。 (例) 「aが1より大のとき、f(x)=x3ー(a+4)x2+(4a+3)x-3a<0解」は? f(1)=1-(a+4)+(4a+3)-3a=0 。係数分離で割り算する。 (1,-a-4,4a+3,-3a)÷(1,-1)=(1,-a-3,3a)の 商のg(x)=x2-(a+3)x+3aでg(3)=9-3a-9+3a=0から、g(x)=(x-3)(x-a)。結局、f(x)=(x-1)(x-3)(x-a)。 aと1,3との大小関係でx軸に対する位置関係が変わるので、不等式の解も変わるね。 aが1より大だから、解はxが1未満。また、a≠3ならaと3の間も解。

4.4次以上の方程式の解法

<4次方程式の単純化> ・お決まりのx2=tの置き換えなど、共通部分の置き換えを意識しよう。 ・因数分解、または因数定理を意識してみよう。 (例)「x4+x2+1=0の解」は?  x2=tとおくと、t2+t+12=(t+1)2-t=(t+1)2-x2=(t+1+x)(t+1-x)=(x2+x+1)(x2-x+1)=0 これで、2つの2次式の積=0になった。x=(複合任意) (例)「x4-8x2+4=0の解」は?  x2=tとおくと、t2-8t+22=(t-2)2-4t=(t-2)2-(2x)2=(t-2+2x)(t-2-2x)=(x2+2x-2)(x2-2x-2)=0 これで、2つの2次式の積=0になった。x=(複合任意) (例)「(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)=3の解」は? x2+5x=tとおくと、(t+4)(t+6)-3=t2+10t+21=(t+3)(t+7)=(x2+5x+3)(x2+5x+7)=0 これで、2つの2次式の積=0になった。x= (例)「2x4-9x3-x2-9x+2=0の解」は?   係数の対称性に目をつけて、x+1/x=tとおくと、x2+1/x2=t2-2 x=0が解でないから、左辺をx2で割ると2(x2+1/x2)-9(x+1/x)-1=2(t2-2)-9t-1=2t2-9t-5=(2t+1)(t-5)=0 (2t+1)(t-5)=(2x+2/x+1)(x+1/x-5)=(2x2+x+2)(x2-5+1)=0 これで、2つの2次式の積=0になった。x= (例)「x4-2x3+3x2-2x+1=0の解x」は? 両辺をx2で割ると、x2-2x+3-2/x+1/x2=0。 係数に対称性があるので、とおこう。 となるから、 P(x)=x2+1/x2 - 2(x+1/x) +3 = y2-2 +(-2y)+3=(y-1)2=0 y=1=x+1/xとなる。x2-x+1=0の解はx= (例) 「3で割った余りが1の自然数nに対して、P=(x-1)(x3n-1)がQ=(x3-1)(xn-1)で割り切れる」理由は? P=(x-1)((xn)3-1)=(x-1)(xn-1)(x2n+xn+1)、Q=(x-1)(x2+x+1)(xn-1)だから、 p(x)=x2n+xn+1がq(x)=x2+x+1で割り切れればよい。 q(x)=0の解ω,ω2はr(x)=x3-1=(x-1)(x2+x+1)=0の解でもある。だから、x3=1の次元下げができるね。 x=ω,ω2はn≡1(mod3)ならば、x2n≡x2, xn≡x(mod3)から、p(x)=x2n+xn+1≡x2+x+1(mod3)となる。 p(ω)=0,p(ω2)=0だから、p(x)は(x-ω)と(x-ω2)を因数に持つので、その積q(x)で割り切れる。