正の整数の無限和が負の数になる??
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ラマヌジャンで有名な数式といえば、
1+2+3+4+.....=-1/12
ですね。
正の整数をたしたらそもそも発散するし、収束するとしも負にならない。
なんのこっちゃ?
となる人が多いと思います。今回はこのあたりをさぐりましょう。
1.ζ(0)とζ(-1)
1+2+3+4+.......は
ただのたし算の式のに見えますが、
ゼータ関数
ζ(s)=1/1^s+1/2^s+1/3^s+.........=Σ∞k^(-s)と定義すると、
ζ(-1)とかけることに気づきますね。
k^(-(-1))=k^1=kだから、
ζ(-1)=Σ∞k=1+2+3+4+.......となるからです。
ついでに、k^(-0))=k^0=1だから、
ζ(0)=Σ∞1=1+1+1+1+.......となります。
なんで、こんな遠回りをするんだろうと思うかもしれませんが、
ゼータ関数の仲間だと思うことで、式変形がしやすくなるのです。
ところで、ラマヌジャンというと
1+2+3+4+.......=-1/12というイメージが出てしまった理由は、
ラマヌジャンが独力で計算したからだと思われます。
じっさいに最初に計算した人はオイラーです。そして、リーマンも計算しています。
リーマンの計算方法は複素数の範囲に拡張するので、かなり大がかりになります。
その点、オイラーは直観的にわかる計算になっています。
ラマヌジャンがどう計算したかは知りませんが、
オイラー流と思われる計算を紹介しましょう。表記はzen流です。
<ζ(s)のペアφ(s)を作る>
ζ(s)=1+2^(-s)+3^(-s)+4^(-s)+.....をk^(-s)の項の多項式を考えてみます。
すると、k=1,2,3,4,.....の係数リストは[1,1,1,1,.......]です。
これを簡単にz=[1,1,1,1,......]sとかくことにしましょう。
ζ(s)の偶数番目の項の係数だけマイナスにした式を
φ(s)=Σ(-1)^(s-1)* k^(-s)としましょう。
φ(s)も係数分離をして、係数リストにしてf=[1,-1,1,-1,....]sとします。
すると、2^(-s) ζ(s)は位がすべて2倍になるので,偶数の位だけとなりますから、係数に翻訳すると、
2^(-s)z:[0,1,0,1,0,1,....]sです。
これを(-2)倍すると、(-2)*2^(-s)z:[0,-2,0,-2,0,....]s
これをもとのzとたしてみましょう。式の筆算をリストの同じくらいの係数和でやります。
z:[1,1,1,1,1,1,,...]s
+(-2)*2^(-s)z:[0,-2,0,-2,0,....]s
(1-2*2^(-s)) z : [1,-1,1,-1,1,....]s= f :[1,-1,1,-1,1,....]s
係数が等しいということは式が等しいということです。2*2^(-s)=2^(1-s)とすると、
ζとφの関係式ができるのです。
ζ(s)=φ(s)/(1-2^(1-s))
s=0なら、ζ(0)=φ(0)/(1-2^(1-0))=- φ(0)
s=-1なら、ζ(-1)=φ(-1)/(1-2^(1+1))=- φ(-1)/3
<φ(0)からζ(0)へ>
ここまで来たら、
あと一歩です。
ζ(0)=- φ(0)でした。
そして、ζ(0)=1+1+1+1+.......
φ(0)=1-1+1-1+.......
符号を交互にーにしただけなのに、
φ(0)は簡単に計算できます。
なぜならば、g(x)=1+x+x^2+x^3+x^4+.....とおくと,
無限級数の基本公式から、g(x)=1/(1-x)がすぐ出ますね。
g(-1)にすると、g(-1)=φ(0)と気づくでしょう。
φ(0)=g(-1)=1/(1-(-1))=1/2
ということは、ζ(0)=-1/2となりますね。
1+1+1+1+.......=-1/2
が出ました。
<φ(-1)からζ(-1)へ>
h(x)=g(x)^2を計算してみましょう。
(1+x+x^2+x^3+x^4+.....)(1+x+x^2+x^3+x^4+.....)=1/(1-x)^2
これは、係数分離でかけ算すると、シフト加算になるから、
[1,1,1,1,1,1,1,......]
+[0,1,1,1,1,1,1,......]
+[0,0,1,1,1,1,1,......]
+[0,0,0,1,1,1,1,......]
+[0,0,0,0,1,1,1,......]
...........................
=[1,2,3,4,5,.......]となります。
つまり、
h(x)=g(x)^2=1+2x+3x^2+4x^3+5x^4+.....=1/(1-x)^2
ここでh(-1)=1-2+3-4+5-......=1/(1+1)^2=1/4となりますね。
この式を見てピンときませんか。
そうです。φ(-1)そのままですね。
ζ(-1)=-φ(-1)/3=-1/3*4=-1/12
出ました。
1+2+3+4+.....=-1/12
<振り返り>
オイラーは、
ζ(s)で、s>0のときの値も求めていました。
しかも一般項まで出せていたのでした。ζ(2)=Σ^∞1/k^2=π^2/6(バーゼル問題の解)
ζ(4)=Σ^∞1/k^4=π^4/90
ζ(2m)=(2π)^2m(-1)^(m+1) B2m/(2(2m)!
ただし、B2mはベルヌーイ数で、関数z/(e^z-1)をマクローリン展開した係数です。(B0=1,B1=-1/2,B2=1/6,B4=-1/30,B6=1/42,B8=-1/30、B10=5/66,B12=-691/2730,....)
ここまでオイラーさんが一般化してましたね。
そのあと、リーマンさんは解析接続によって、
リーマン・ゼータ関数を定義して、リーマン予想にまで到達していましたね。くわしくはこちら、https://www.geogebra.org/m/twxxx3yq#material/zubttw7r
リーマンにしても、ラマヌジャンにしても、
式の変形というトリック?によって
発散数列が収束するかのような値を計算できました。
これらの値の意味は何でしょうか。
それは、複素関数としてのリーマン・ゼータ関数ζとΓ関数を対にしたり、
「関数等式や対称性」をさぐらないと、
見えてこないのかもしれませんね。
2.関数等式と対称性
ζ(s)のsが負のときの挙動について考えてみよう。
リーマンさんが 1859年にかいた「与えられた数より小さい素数の個数について」のポイントを確認しよう。
リーマン・ゼータ関数はζ(s) = Σn^(-s)=Π(1-p(-s))^(-1)とオイラー積にかける。
(ただし、 s=σ+it, sは複素数、pは全素数、Σは無限級数)
ζ(s)はs =1 以外の全平面で正則で、s=1は1位の極でその留数は1。
「関数等式」は、ζ(s)= 2^s π^(s-1) sin(πs/2)Γ(1-s)ζ(1-s)
ζ(s)は関数等式によってRe(s)=1/2で線対称な世界を作っているのです。
A=Γ(s/2) π^(-s/2) ζ(s) とおくと、Aはsと1-sの入れ替えで不変になります。
このように、ゼータ関数はガンマ関数と表裏一体でつながっているのですね。
零点(=0の解となる点s)についても、ガンマ関数ゆずりの負の偶数-2nのように自明解があります。
自明でない解が問題のリーマンの予想で、実部が0と1の間の零点はσ=1/2のみだというものだったね。
<関数等式はすごいんです>
ζ(s)= 2^s π^(s-1) sin(πs/2)Γ(1-s)ζ(1-s)
「関数等式」に、s = -1を入れてみよう。
右辺で 2^(-1) π^(-1-1)sin(-π/2)=1/(2π^2) (-1)=-1/(2π^2)。
右辺でnが正の整数のとき、Γ(n)=(n-1)!(階乗関数)だったから、Γ(1-(-1))=Γ(2)= 1! = 1
右辺の最後ζ(2)=π^2/6 (バール問題の値)
この3数の積が左辺ζ(-1)になるはずですね。
ζ(-1)=-1/(2π^2)*1*π^2/6 =-1/12
じゃーん。
出ましたね。
あんなに工夫して計算したs=-1が負の世界の住人ζ(ー1)の正体が、
1-s=2が正の世界の住人Γ(2)ζ(2)から、いとも簡単に暴かれたのです。
ということは、
この「関数等式」は、sが0と1のゾーンを境にした
光の世界(s>1)と闇の世界(s<0)がつながり、
陰陽を支配する「ゼータ世界の守護神」
ともいえるでしょう。
その守護神の姿を分解してみよう。
sが負の整数-k(-1,-2,-3,-4,-5,.....)ならば、
2^s π^(s-1) の部分は1/(2^k*π^(k+1))という微量の正の数になる。
sin(ππ/2)の部分はsin(-kπ/2)は、90度単位で、-1,0,1,0の周期でカチカチと繰り返す。
ζ(s)を周期的に0にしたり、ζ(1-s)の影を映し出す、スイッチがビルトインされているということだね。
ガンマ部分Γ(1-s)=Γ(1+k)=k!これが増幅部分をになっている。
オイラーの公式ζ(2m)=(2π)^2m(-1)^(m+1) B2m/(2(2m)!から、
正のゼータ部分ζ(1-s)=ζ(1+k)は、1+kが偶数のときはベルヌーイB2mも使うと計算できる。
ζ(1-s)=-1/s Bsとなる。
ということは、
闇の世界のζ(s)の関数等式で収束という姿はなく、
強いていうと、光の世界のζ(1-s)が対極にあり、sinでスイッチされて、ガンマでサイズを増大させる。
そんな対応があるだけだといえる。
対称性の視点からすぐわかることはこの表裏一体性だ。
だから、「1つの式ζ(-1)がどうなる?」
という問い自体がローカルな問いという気がする。
<大局的にζを見る>
大局的に見ると
オイラーさんもζ関数を昼の顔と夜の顔と対照的にとらえていた。
リーマンさんも、1つ1つのsのζを求めるという視点はなく、零点の分布という大局を問題にしていた。
そもそも、s=0や-1のときのζを求めるときも収束する補償もないのに、
オイラーさんは無限級数の収束値のようにして、求めていた。
仮定では無限和Sから無限和Sの変数倍を引くという処理があり、
そこで、無限同士を相殺していると考えられる。
だから、sが負のときでも、ζの値が収束するからその値が求められたわけではない。
ζの巨大な発散部分を相殺したあとに残る
ζのsごとの特性値、ζの核
のようなものを求めているのが真相でしょう。
ζ(1-s)=-1/s Bs
というさっき導いた式を使えば、ベルヌーイ数から直で負の奇数のζが計算できてしまう。
ζ(-1)=-1/(2^2×3)
ζ(-3)=+1/(2^2×3×5)
ζ(-5)=-1/(2^2×3^2×7)
ζ(-7)=+1/(2^4×3×5)
ζ(-9)=-1/(2^2×3×11)
ζ(-11)=691/(2^3×3^2×5×7×13)
この分母は主にベルヌーイ数から出てきているが、
そもそもすべて2の2乗以上だから、2の指数が他の素数の指数以上でもあるから、
「高度な合成数、約数が一番早く大きくなる整数」とも関係がありそうだし、
「p進的な距離の計算」にも近い。
ζは、さまざまな重要な関数や概念の交差点、
または、ジェネレータのようなものではないのか?
という気がするね。
そうなると、「1+2+3+4+…=-1/12」はなんで?
という問いがさほど重要でもないような気にすらなってしまう。
不思議だ。
<数学と物理学>
では、光の世界のζ(2)と闇の世界のζ(-1)をつなぎ、発散数列の無限の雲を消し去って求めた、核の値、
1+2+3+4+.....=-1/12は
数学者たちの見た「イデアの世界の中の花」でしかないのでしょうか。
この -1/12は私たちの現実の物理宇宙に実在する力として測定されているようです。
それが、量子力学における「カシミール効果」です。
真空中に2枚の金属板を極めて狭い隙間(ナノメートル単位)で並べると、
何もないはずの空間からプレートを押しつぶす「謎の吸引力」が働きます。
この力を量子力学の「零点振動のエネルギーの総和」として計算しようとすると、
金属板の間の波のモードをすべて足し合わせることになり、
数式上にまさに1+ 2 + 3 + 4 +.....という無限の足し算が現れます。
物理学者たちが「まさか」と思いながら、
この無限の発散にゼータ関数による -1/12を代入して計算したところ、
実験で測定された金属板にかかる実際の吸引力と、小数点以下まで完璧に一致してしまったらしいのです。
ζは数式は他にも宇宙的な数式とつながっているといわれるものがあります。
数学者たちがこの零点の謎に挑み続ける中で、
近年、さらに決定的な「宇宙の統一鍵」を予感させる大事件が起きました。
「素数と原子核(量子カオス)の結合」です。
数学者ヒュー・モンゴメリーと物理学者フリーマン・ダイソンが交わした有名な雑談の中で、
リーマン・ゼータ関数の零点の間隔を記述する統計式が、
ウランなどの「重い原子核のエネルギー間隔(高エネルギー状態の固有値の分布)」を表す物理の数式と、
完全に一致していることが発覚したのです。
数論の世界:ゼータ関数の零点(素数の守護神)
量子力学の世界:カオス的な原子核のエネルギーの振る舞い
これらが、全く同じ「ランダム行列の固有値」という数理構造で動いていたのです。
ζという数学のジェネレータはオイラー積とつなげると、素数の存在にいきつきますね。
素数が宇宙原理を統一する鍵かもしれませんね。
だからこそ、数学者も物理学者も「リーマン予想」の研究に没頭するのかもしれないです。
ζ(正でない)の値
課題:ζの値をgeogebraで表示しよう。
f(x)=zeta(x)
xs={0,-1,-3,-5,-7,-9,-11,-13,-15}
zs=Zip(FractionText(f(s)),s,xs}
n=slider(1,Length(xs),1)
text1="ζ("+xs(n)+")="+zs(n)+"" #オブジェクトをクリックして設定ダイアログのLaTeX数式をOn
スライダーを変えると、0や負の奇数のsに対するζ(s)がぱっと表示されます。
geogebraはgammaといい、zetaといい、最先端に対する対応はすごいですね。