7.漸化式と極限
このページは電子ブック「探求 数学Ⅲ」の一部です。
★つまってきたー!
1.漸化式の基本形
<等差型>
an+1=an+dならば、an=a1+d(n-1)
(例)
geogebraでa1=1,an+1=an+5の100番目までを調べるには、
f(a)=a+5と関数定義して、an=IterationList(f,1,100)とすればよいね。
nを変化させる場合は、nをスライダー変数として定義しておき、
an=IterationList(f,1,n)とすればよいね。そのつどのnのときanを得るには
an(n)とn番目のElementをゲットしよう。
<等比型>
an+1=r・anならば、an=a1×r(n-1)
(例)
geogebraでa1=1,an+1=an×5の100番目までを調べるには、
f(a)=a×5と関数定義して、an=IterationList(f,1,100)とすればよいね。
<階差型>
an+1=an+f(n)ならば、an=a1+∑n-1f(k)
(例)
「a1=0, an+1-an=(1/2)nの一般項と極限値」は?
bn=an+1-anとおくと、∑bk=an+1-an+an-an-1+.....+a2-a1=an+1-a1=an+1
一方で、∑bk=∑1/2・(1/2)n=1/2・(1-(1/2)n)/(1-1/2)=1-(1/2)n
だから、an=1-(1/2)n-1→1に収束する。
(例)
「A1は面積1の正三角形。An+1はAnのすべての辺の3等分した中央の線分上に正三角形を追加した
フラクタル図形。SnはAnの面積とするとき、Snの極限値」は?
Anで追加する正三角形の面積をan,辺の数をbnとすると、an+1=(1/9)an。bn+1=4bn
S2-S1=3・(1/9)、S3-S2=3・4・(1/9)2、S4−S3=3・42・(1/9)3、......Sn+1-Sn=3・4n-1・(1/9)n。
∑(Sk+1-Sk)=Sn+1-S1=∑3(1/9)(4/9)k-1。これから、
Sn=S1+1/3(1-(4/9)n-1)/(1-4/9)=1+3/5(1-(4/9)n-1)→1+3/5=1.6に収束する。
<分数形>
分数形は小さい数で実験して予測してみよう。
(例)
「関数 でa1=5,an+1=f(an)とし、bn= n→∞のときのbnの極限」は?
f(x)= と変形して、順次計算してみる。。
これから、 と予想できるね。
だが、kak= (整式の割り算で帯分数にできる)
だから、
(参考)分数数列anの一般項の求め方
もしもanが収束するとしたら、n番目もn+1番目も同じになるはずで、極限値をxとしよう。
から、x2-2x=4x-9。x2-6x+9=(x-3)2=0 。そこで、cn=an-3とすると、c1=a1-3=2。
cn+1=an+1-3=
これから、。逆数をとると、 , 。
これから、{1/cn}は初項1/2、公差1の等差数列だから、1/cn=1/2+n-1=n-1/2。
一般項はan=cn+3=
分数の極限値が整数
2.特性方程式
<2項間の漸化式>
特性方程式は数列の項をxやtに置き換えたもので、式変形に応じた係数を求めるためのものだ。
たとえば、an+1=p・an+qという漸化式を等比型bn+1=r bnに変形したいとしよう。
・特性方程式を使わないとき
bn=an-α, bn+1=an+1-αを代入する。an+1-α=r(an-α) an+1=r・an-α(r-1)。
係数比較すると、r=p, q=-α(r-1)から、α=q/(1-p)となる。
・特性方程式を使うとき
t=pt+qとすると、t=q(1-p)となる。
・どちらにしてもbn=an-q/(1-p)とおくと、bn+1=p・bnとなることがわかる。
つまり、an+1-q/(1-p)=p(an-q/(1-p)) =pn(a1-q/(1-p))
an+1=q/(1-p)+pn(a1-q/(1-p))
(例)
「a1=1,an+1=(1/2)an+1のanの極限値」は?
α=1/(1-1/2)=2。an+1=2+(1/2)n(a1-2)=2-(1/2)n→2に収束する。
<3項間の漸化式>
たとえば、an+2+pan+1+qan=0を等比型bn+1=βbnに変形したいとしよう。
・特性方程式を使わないとき
bn=an+1-αan, bn+1=an+2-αan+1を代入する。an+2-αan+1=β(an+1-αan)
an+2-(α+β)an+1+αβan=0 係数比較すると、p=-(α+β) q=αβから、
αとβはt2+pt+q=0の解となる。
・特性方程式を使うとき
t2+pt+q=0とすると、t=α、βとなったとする。αとβは対等だから、次の2式ができる。
an+2-αan+1=β(an+1-αan), an+2-βan+1=α(an+1-βan)
これから
an+2-αan+1=βn(a2-αa1)=kとおく→βan+2-αβan+1=kβ
an+2-βan+1=αn(a2-βa1)=lとおく→αan+2-αβan+1=lα。
片々の差は(βan+2-αan+2)=kβ-lα。an+2=(kβ-lα)/(β-α)。
an+2=(βn+1(a2-αa1)-αn+1(a2-βa1))/(β-α)
(例)
「a1=0,a2=1,2an+2−3an+1+an=0のanの極限値」は?
2x2-3x+1=(2x-1)(x-1)=0となるから、x=1,1/2で。
an=((1/2)n-1(1-1・0)-(1)n-1(1-1/2・0))/(1/2-1)=((1/2)n-1-1)/(-1/2)=2(1-(1/2)n-1)→2に収束する。
(例)
geogebraでフィボナッチ数列a1=1,a2=1, an+2=an+1+anの
30番目までを調べるには、
an=IterationList(a + b, a, b, {1, 1}, 30)
とするか、f(a, b)=a+bと関数定義して、an= IterationList(f, {1,1},30)などとすればよいね。
<対称漸化式>
an+1=pan+qbn、bn+1=qan+pbn
和の数列an+1+bn+1=(p+q)(an+bn)=(p+q)n(a1+b1)、差の数列an+1-bn+1=(p-q)(an-bn)=(p-q)n(a1-b1)
これから、和差算をして、
an+1=((p+q)n(a1+b1)+(p-q)n(a1-b1))/2、bn+1=((p+q)n(a1+b1)-(p-q)n(a1-b1))/2
(例)
「a1=1,b1=2,an+1=3an+2bn,bn+1=2an+3bnの一般項」は?
an=((3+2)n-1(1+2)+(3-2)n-1(1-2))/2=(3・5n-1-1))/2、
bn=((3+2)n-1(1+2)-(3-2)n-1(1-2))/2=(3・5n-1+1))/2
(例)
「a1=2,b1=1,an+1=2/3an-1/3bn,bn+1=-1/3an+2/3bnの極限値」は?
an=((2/3-1/3)n-1(2+1)+(2/3+1/3)n-1(2-1))/2=((1/3)n-2+1))/2→1/2
bn=((2/3-1/3)n-1(2+1)-(2/3+1/3)n-1(2-1))/2=((1/3)n-2-1))/2→-1/2。
(例)
「頂点を左回りにA,B,Cとする三角形ABCがあり、コインを投げて表なら左隣りに移動し、裏なら留まる。
n回コイン投げをしたときに頂点A,B,Cにいる確率をとする。
とするとき、n→∞のの極限値」は?
=1であることに着目する。
。同様にして、。
同様にして、 。
まず、 3/8=a+(-a)(-1/8)とするとa・9/8=3/8だから、a=1/3とすれば等比形になる。
nを3で割った余りがr, 商がmなら、
rがどれでもn→∞ならm→∞となるから(-1/8)m→0となり、pnの極限値は1/3。
qn,rnについても、同様にして極限値は1/3となる。
★いきなり近づいたー
3.漸化不等式
<幅の変化>
たとえば紙を同じ向きの辺を半分に折るという操作をくり返しとします。
折るたびに紙幅anはan+1=1/2anという漸化式で小さくなる。
もしも紙にシミがあるとしたら、そのシミの位置は端っこからの距離bnとすると、
いつもbn<=anといえるから、bn+1<=1/2anという関係ができるね。
このように、不等式でもそのキワの等式に着目すると等比型の数列につながる。
(例)
「a1=4,|an+1-5|<=1/2|an-5|のときのanの極限値」は?
|an+1-5|<=1/2|an-5|<=(1/2)n|4-5|→0に収束する。だから、an→5に収束する。
<絶対値化>
A=Bならば、|A|=|B|
|AB|=|A||B|から、絶対値記号は積のそれぞれの要素に分けられる。
|1/(x2+3)|<=|1/3| (分母のx2という0以上のものを取り去ると同じか大きくなる。)
などのように、絶対値記号を使うことで、数式を単純化して幅の変化の収束に持ち込める。
(例)
「a1=4, an+1=√(2an+3)のときのanの極限値」は?
t2=2t+3から、t>0の範囲で、t2-2t-3=(t-3)(t+1)=0からt=3
an+1-3=(√(2an+3)-3)/1=(√(2an+3)-3)(√(2an+3)+3)/(√(2an+3)+3)=(2an-6)/(√(2an+3)+3)
an+1-3=2/(√(2an+3)+3)・(an-3)
この等式を絶対値化して単純な不等式にしよう。
|an+1-3|=2/(√(2an+3)+3)・|an-3| <=2/3・|an-3|<=(2/3)n・|4-3|→0に収束する。
だから、an→3に収束。