90°の約数角のサインコサイン
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90°の約数角の三角関数はとても興味深い。
15° や 18° といった特別な角の三角関数は、二重根号や代数方程式の解として表せます。
その背後には、正多角形の作図にかかわる多項式のつながりがあるのです。
1.ウォーミングアップ
ウォーミングアップ
<sin15°は?>
sin15°は(√6ー√2)/4ですが、
アプローチは色々あります。
答えよりもアプローチに着目してみよう。
直角三角形ABCで角A=75°、角B=15°、AB=x、AC=1とする。
「解法1:二等辺三角形を作って、ピタゴラスの定理」
BC上に点Eをとり角BAE=15°とすると
△AECは角E=30°の直角三角形で、三角形ABEは二等辺三角形。
AE=BE=2,EC=√3なので、
△ABCでx^2=(2+√3)^2+1^2=8+4√3=2(4+2√3)=2(√3+1)^2。
ここで、4+2√3を平方完成していることに注意しよう。
正数x=√2(√3+1)=√6-√2。
だから、sin15°=AC/AB=1/x=(√6ー√2)/4(分母の有理化)
「解法2:二等辺三角形を作って、余弦定理」
△ABCにBCを共有する合同な△A'BCをくっつけよう。
角Bが30°で挟む辺がxで底辺2の二等辺三角形AA'Bができるね。
△AA'Bで、AA'^2=2^2=x^2+x^2-2x^2cos30°=x^2(2-2*√3/2)。
x^2=4/(2-√3)=8/(4-2√3)=8/(√3-1)^2。
ここで、4-2√3を平方完成していることに注意しよう。
sin15°=1/x=(√3-1)/2√2=√2(√3-1)/4=(√6ー√2)/4
cos15°はサイン・コサインの2乗の和が1であることからも逆算できますね。
ピタゴラスは中学で学び、余弦は高校1年で学ぶ基本ですが、
どこをxにするかによっては2重根号になり苦労するかもしれません。
最初のうちに√の係数に2がくるようにして平方完成しておくなど「テクニカルな準備」
が必要になります。
「解法3:加法定理に数値を入れるだけ」
その点、次の加法定理は覚えておくと楽々です。
15=60-45、15=45-30なので、
知っている30,45,60のサイン・コサインを使うと、何の苦も無くあっさり出せます。
sin15=(√6ー√2)/4、cos15=(√6+√2)/4
geogebraのlatexでかくと、
sin15°==
sin15°==
15、30、45、60、90のサインが出れば、75も欲しくなりますね。
加法定理があれば、75=60+15でも、75=90-15でも、75=30+45でも出せます。
しかし、初心を忘れないでください。x+y=90ならば、三角比の定義からsinx=cosyです。
だから、sin75°=cos15°、cos75°=sin15°が
一瞬で出ますね。
だんだんと角度が
数列の問題、代数の問題に近づいてきましたね。
<倍角から半角へ>
ご存知のように、A+Bという加法定理は同じ和A+Aにすると倍角2Aの公式が出るのでしたね。
sinをs,cosをcとします。
s2A=s(A+A)=2sAcA。
c2A=c(A+A)=(cA)²-(sA)²=2cA²-1=1-2sA²。
面白いのは読みかえです。
2AからするとAは2Aの1/2だから半角の公式ができるのでした。
c2A=2cA²-1からは、c²(X/2)=(1+c(X))/2
c2A==1-2sA²からは、s²(X/2)=(1-c(X))/2
2.90の約数角をもっと小さくする
これまで、15の倍数のサインコサインは出せるようになりした。
半角・倍角の公式もわかりました。
正五角形の中の星形五角形の頂角は36°です。
こうなると、まず、18の倍数のサインも出したくなりますね。
<sin18°>
トレミーの定理や相似などから、1辺1の正五角形の対角線x=(√5+1)/2
sin18°は2本の対角線をxとして、底辺1の二等辺三角形から垂線降ろした直角三角形でだせます。
sin18°=(1/2)/((√5+1)/2)=1/(√5+1)=(√5-1)/(5-1)
=(√5-1)/4
cos18°=1-{(√5-1)/4}^2=√({4^2-(√5-1)^2}/16)=√{(3+√5)(5-√5)}/4
=√(10+2√5)}/4
18°のサイン・コサインがあれば、
加法定理、倍角定理からの「18の整数倍角のサインコサイン」が計算可能ですね。
<sin3°>
ではサイン3度はどうでしょう。3=18-15ですから、
sin3°=sin(18°-15°)=s18c15-c18s15
=(√5-1)/4*(√6+√2)/4-√(10+2√5)}/4*(√6ー√2)/4
これも、地道に計算すれば出せるでしょう。
もちろん、cos3°も同様です。
3°のサイン・コサインがあれば、
加法定理、倍角定理からの「3の整数倍角のサインコサイン」が計算可能ですね。
<1度のサインコサイン>
こうなると1度のサインコサインも出したくなりますね。
加法定理と倍角公式を使うと、3倍角公式が作れます。
sin(3A)=-4sin^3(A)+3sinA
cos(3A)=4cos^3(A)+3cosA
つまり、sin3°=c(定数)とおき、sin1°=xとすると、
sin1°=xは4x^3-3x+c=0という3次方程式の解になるのです。
xは微小な正数になるはずだね。
3.チェビシェフの多項式
特定の角度を求める個別のテクニックを超えて、
「cos(nθ) を cosθ の多項式として表す」というとても美しい多項式があります。
それがチェビシェフ多項式(Chebyshev Polynomials)Tn(x) です。
<チェビシェフ多項式とは>
x = cosθ と置くとき、cos(nθ) = Tn(x)
と定義しましょう。
T0(x) = 1
T1(x) = x
T2(x) = 2x^2 - 1 (2倍角の公式 cos(2θ) = 2cos^2(θ) - 1)
T3(x) = 4x^3 - 3x (3倍角の公式 cos(3θ) = 4cos^3(θ) - 3cosθ)
T4(x) = 8x^4 - 8x^2 + 1
T5(x) = 16x^5 - 20x^3 + 5x
<チェビシェフの多項式の作り方>
この多項式たちは、三角関数の和積の公式
cos((n+1)θ) + cos((n-1)θ) = 2cosθ * cos(nθ)
から直ちに導くことができます。
Tの式に直してみよう。
T_(n+1)(x) = 2x * Tn(x) - T_(n-1)(x)
これは、まさに数列の漸化式ですね。
三角関数の加法定理によって、
倍角、半角定理が使えたあたりから、
三角関数が直角三角形や単位円というよりは、
「数列」と「代数方程式」の世界に突入していた。
チェビシェフ多項式は「三角関数のストレートな代数化」をしてくれる。
<チェビシェフの多項式のお役立ち>
チェビシェフ多項式によって、90°の約数角は「多項式の根」として一元的把握できるようになった。
18°(90° ÷ 5)の場合
5θ = 90° のとき cos(5θ) = 0 となる。
したがって、T5(x) = 16x^5 - 20x^3 + 5x = 0
という5次方程式の解として cos(18°)(および cos(54°))が導き出せる。
15°(90° ÷ 6)の場合
cos(6θ) = 0 より、T6(x) = 0 の方程式の根として整理される。
幾何学の根幹となる三角関数を代数化することは数学のエレガントを示しているね。